新型コロナウイルスで直面する、 リモートワークで生産性をあげる方法とは?

 昨年末に中国・武漢で発症した新型コロナウィルスも、今や多くの国々で蔓延し、世界的な大問題となっています。こうした状況から世界中でロックダウン(都市封鎖)を行なっている都市も多く、私たちが生活をしているニューヨークは、まさにアメリカの新型コロナウィルスの震源地となっています。現在では大都市ニューヨークが昼間でも人気のない閑散としたゴーストタウン化している状態です。

 多くの人たちが自宅から出られない状態にあり、仕事も「リモートワーク」で行なっている人々がほとんどではないでしょうか?一般的にリモートワークは会社に出勤して仕事をするよりも生産性や効率性が落ちたり、まだまだリモートワークを取り入れるに至ってない会社も多いのではないでしょうか?もちろん業界や職種によっての差はあると思いますが、個人的な肌感覚では、日本よりもアメリカの人々のほうがリモートワークに慣れているという印象を持ちました。といってもこの状況ですので、多くの会社がリモートワークに踏み切っているようです。それではどうしたらリモートワークで生産性をあげられるのかを考えてみようと思います。どうしたら生産性をあげられるのかと考えたときに、ニューヨークがロックダウンした際に取った自らの行動からヒントを得ることができました。

 3月22日の夜からニューヨークは本格的なロックダウンに突入したのですが、その前の週から多くの人が会社には出勤せずに自宅から仕事をする動きになっていました。食料やトイレットペーパーが手に入らなくなる、そんな情報も流れてか、スーパーに人が殺到し、マンハッタンから郊外に避難する人も多く見られました。私も友人と一緒にハンプトンに一時避難をしたのですが、そこで色々と気づいたことがありました。皆さんもご存知だと思いますが、心理学者のアブラハム・マズローが提唱した「マズローの欲求五段階説」というものがあります。「人間は絶えず自己実現のために成長する」という論理ですが、新型コロナウィルスによるロックダウンのような緊急事態で、まず最初に取った避難という行動は「生命を維持したい」という人間の本能的な欲求、「安全を維持したい」という安全の欲求が働いたのだと思います。リモートワークで生産性をあげたい、リーダーシップを発揮したいと考えたときに、マズローの欲求五段階説でいうと「能力をあげて創造的な活動をしたい」というピラミッドのトップの部分を実現しなくてはいけません。しかしながら衣食住や安全の確保、共同生活をするメンバーとの調和など、慣れない環境にフィットすることに時間がかかってしうなど、マズローのピラミッドでいう下層部分が安定しないことには仕事の生産性(ピラミッドでいう上層部分)が上がらないことに気がつきました。

 マズローの論理は一例にすぎませんが、このピラミッドを理解することで個々の状況を「自己実現の欲求」部分まで高めて行くことで仕事の生産性をあげて行くことができます。「自己実現の欲求」が満たされることで部下に対して的確な指示と公正な判断が提供でき、上司に対しても自己啓発的な行動や創造性のある仕事がアピールできるところまでパフォーマンスを持って行けると思います。

 では、実際に会社に出勤するのとは違った環境でパフォーマンスをあげていくにはどうしたらいいのでしょうか。ハード面ではリモートワークに欠かせないテクノロジーをいかに駆使するのかもポイントになってきます。チームメンバーと離れた状況でコミュニケーションを測るにはビデオチャットやチャットは必須ですし、タスク・プロジェクト管理のツールを使ってチームの進行状況などをいつも以上に透明性を持たせて把握しておくことが必要です。Webセミナーを利用して知識をつけることもできますし、近くの仲間に会えない時こそオンラインコミュニティに参加して世界中の人々と交流を測ることもできます。ランチはフードデリバリーを使ってちょっとこだわりのある食事を取ることで仕事への意欲も出てくるでしょう。

 アメリカ政府が提唱をしている「Social distancing」はフィジカルのみに使われる言葉です。仲間と直接会うことのできない状況だからこそ、ソフト面ではいつもよりも思いやりと気遣いをプラスすることがリモートワークを円滑に進める方法ではないでしょうか。メールやチャットはどうしても無機質になりがちですし、出勤しないことで相手が今何をしているのかタイムリーに把握することが困難でもあります。普段よりも多くの情報を提供するという透明性は信頼にも繋がりますし、いつもより気遣いの一言を多く添えることも大切です。リモートワークを円滑に進めるちょっとしたコツを掴めば、ロックダウン明けには働き方の選択肢がひとつ増えることでしょう。